2023年2月7日に発表された AIチャット機能搭載の検索エンジン「新しいBing」について、使い方や特徴、問題点を簡単にまとめてみたいと思います。
なお、この記事は 2023年3月20日時点での情報であり、今まさに日々変化している状況であることをご了承ください。
Bing AI の特長
- 出典(URL)の提示がある
- 最新AIの GPT-4 を採用
- Bing で普通に検索するだけで使える
利用には登録が必要
2023年3月20日現在の「新しいBing」はプレビュー段階で、利用者登録と早期アクセス利用開始の順番待ちが必要です。
筆者は2月中旬に申請して3日で使えるようになりました (「すばやくアクセスする」操作は行いませんでした)。
使い方
利用可能になると、Bing のトップページから従来のように検索するだけで、検索結果とあわせて右側にAI(新しいBing)の回答が表示されます。
また、「チャット」タブを使って質問をすることもできます。
会話のスタイル
プレビュー段階の機能として、「会話のスタイルを選択」できるようになりました。
会話スタイルは「独創性, バランス, 厳密」の 3種類から選択できます。
少し試してみた感じだと、バランスよりも独創性のほうが良い結果が得られました。
回答の保存
AIの回答は次の方法で保存できます。
- チャットタブで、Bingの回答にカーソルを合わせる。
- 右上に表示される共有アイコンを押す。
- 「共有」が表示されるので、その中の「リンクをコピー」を押す。
クリップボードに回答のURLがコピーされ、他の人にも見せることができるようになります。
URL を保存しておけば、後で見ることもできます。
URLの有効期限は、Bing AIの回答によれば無いそうです。
検索回数の制限
新しいBingのAIチャット利用回数には制限があり、2023年3月15日現在は 1セッション毎に最大 15質問、1日あたり150質問までです。
なお、通常の検索は制限には含まれず、カウントされません。
AIの利用回数制限は 2月17日から始まり、当初は下記のようなより厳しい制限でした。
マイクロソフトは金曜日、生成型人工知能 (AI) を搭載した新しい検索エンジン Bing のチャットセッションを、1セッションあたり 5質問、1日あたり 50質問に制限すると発表した。
- Microsoft limits Bing chats to 5 questions per session | Reuters
- ASCII.jp:マイクロソフト、Bingの会話型AIは「GPT-4」ベースと明かす
現在は 150回まで緩和されたことで、試用および実用上もそれほど問題なくなりました。
AIの回答例
検索回数の制限について Bing に質問すると、次のような回答が得られました。
BingのAIチャット検索は無料で使えますが、利用回数に制限があります。
- 1回の会話のターン数(AIとユーザーのやり取りの往復)は15回まで
- 1日あたりの会話は150回まで
これらの制限は、以下の理由から設けられています。
- テスト公開版のみが提供中のため、ユーザーが大量に質問や回答を引出し、システムの負荷や管理コストが膨れ上がることを防止する
- 長時間質問と回答を繰り返すことでAIの回答が予測しづらく不正確になるリスクを避ける
- 多くのユーザーが15回以内のやり取りで検索したいことを探し出せているうえ、150回以上のやり取りをしているのは1%程度のユーザーにすぎないというデータから
通常の検索回数はAIチャット検索とは別にカウントされます。つまり、AIチャット検索以外では通常通り無制限にBingを使えます。
このように最新情報も反映して回答できることが、現時点では ChatGPT には無い、新しい Bing の強みです。
問題点
実際に使ってみると、いくつかの問題点がありました。
AIの応答速度が遅い
現状は新しいBingからの回答が表示されるまで、比較的時間がかかります (数十秒)。
同様のAIチャット機能を持つ検索エンジン Perplexity AI のほうがずっと速いです。
会話が継続不能になる
質問内容に対する回答が間違っていたとき、AIに間違っていると教えると次のように表示されて会話が継続不能になることがありました。
すみませんが、この会話を続けるのは好ましくありません。私はまだ学習中なので、ご理解とご協力をお願いします。
また、質問に対して回答できないまま検索を繰り返す無限ループ状態に陥り、最終的にエラーになることも有りました。
口調があまり良くない
回答の文体も、あまり感じが良くないケースが少なからずあります。
ただ、公開当初よりは幾分改善されているようです。
フォントが見辛い場合がある
Windows PC版の Edgeで新しいBingを使うと、フォントが中文(いわゆる中華フォント)になってしまっているようで漢字が不自然でしたが、現在は解消しています。
ただし回答にソースコードが含まれる場合は、コード部分がMSゴシックで表示されており読みづらいままでした。
総評と展望
「新しいBing」は最新の GPT を採用していることもあり、かなり期待していたのですが、残念ながら現状は期待ほどの完成度ではありませんでした。
むしろ古い GPT を使っている ChatGPT や Perplexity AI のほうが良好な回答が得られるケースが多く、回答速度も速いので使い勝手が良いです。
しかしながら、Bingは今後も期待できることには変わりありません。
Bingを作っている Microsoft は、ChatGPT を開発した OpenAI への投資を継続しており、今後 1兆円を超える額を投資するとも言われています。
「新しいBing」は急速に強化され、そう遠くないうちに使い勝手も大幅に向上することでしょう。
ChatGPTに代表される対話型AIは現在でも、使い方さえ間違えなければ充分実用的な水準に達しています。
AIは検索のみならず、今後様々な分野に多大な影響力を持つようになることは間違いないものと思います。