スマホの電波強度と通信速度は比例しない (楽天モバイル回線)

2022/06/14

#スマホ 4G/LTE 楽天モバイル

スマホの電波強度と通信速度の関係について少し考察してみます。

実はスマホなどの携帯電話回線の場合、電波強度と通信速度は必ずしも比例しません。
私も最近まで勘違いしていて、電波強度の強い(良い)ほうが当然、通信速度も速いだろうと思っていました。
しかし実測してみた所、どうもそうではないのです。

実測環境について

楽天モバイル回線 (Rakuten UN-LIMIT VI) で実際に、数ヶ月に渡って何度も通信速度を計測してみました。

実測にはモバイルルーター「Rakuten WiFi Pocket 2C」を用いました。場所は自宅です。
このルーターは管理画面で 4G LTE の電波強度と通信速度を、リアルタイムで見ることができます。

楽天モバイルには現状、プラチナバンドが無いため、置き場所と角度によって電波の入り方がかなり違ってきます。
ベストな置き場所を決めるために何度もテストしてみたところ、電波の入りが良い場所では -80dBm 前後であることが解りました。
良い電波(基地局)を拾えない場所では、-100dBm 程度まで下がることもわかりました。
この中間程度になることはほとんど無く、同じ場所に置いても -80dBm から -100dBm に変わる場合があることから、それぞれの電波強度で別の基地局の電波を拾っているものと思います。

実測結果

当初は当然ながら、電波の入りが良い場所を探しましたが、実際に -80dBm 程度で繋がると速度があまり出ませんでした。
数カ月間、何度測ってみても、-80dBm 前後の基地局では下り 10Mbps 程度が上限でした。
ところが -100dBm 前後の基地局では 30Mbps 程度でるのです。速度が低下することもほとんどありませんでした。
これはいったい、どういうことでしょうか。

実測でわかったこと

上記の実測結果から解ることが 2点あります。

  • 電波強度が良好だからといって、速いとは限らない
  • 電波強度が -100dBm と弱くても、下り 30Mbps 程度まで出る場合もある

結果からの推測

では、どうして電波強度と通信速度が比例しないのでしょうか。
推測できるのは、基地局の性能とキャパシティ(収容能力)の影響です。

-100dBm で下り 30Mbps 程度出るのなら、-80dBm でそれ以上出ないわけはありません。
利用帯域が同じだと仮定すると当然、理想的な環境であれば -80dBm のほうがずっと速い通信速度になるはずです。
だから速度が出ない原因は電波強度ではなく、それ以外の要因だということになります。

通信性能とキャパシティは全ての基地局で同じではなく、基地局によって異なるものと推測できます。
事情はキャリアによっても異なるものと思いますが、基地局ごとの帯域幅や接続数(収容人数)、上流の通信回線(バックボーン)への接続速度は様々でしょう。
それらの何れかがボトルネックになったとき、電波強度以外の要因で通信速度が低下することになります。

Rakuten Casa

楽天モバイルの場合、小型の基地局のような働きをする小型室内アンテナ「Rakuten Casa」という、一般向けの製品があります。

これは一般家庭の固定回線(光回線)が上流となり、周囲に楽天モバイルの 4G LTE 電波を飛ばす製品です。
もし周辺に Rakuten Casa が設置されていると、この電波を拾う可能性があります。
すると、そこの固定回線の実際の通信速度に影響を受けることになります。そちらに充分な余裕がなければ通信速度が遅くなってしまうはずです。
電波強度が強いにも関わらず通信速度が遅い場合、この可能性もあるのではないかと考えています。

接続の安定性

接続自体の安定性は基本的に、電波強度が強いほうが良いように思います。
意図的に -100dBm の基地局に繋がるようにすると、圏外になってしまうことが少なくありませんでした。

電波強度は強いほど、電波障害にも強いものと考えられますから、通信速度よりむしろ安定した通信を行うことを重視するならば電波強度だけで判断しても良いものと思います。

Wi-Fi の電波強度

屋内の Wi-Fi 環境の通信速度は、上流の回線速度が充分であれば、電波強度が強いほうが速くなるはずです。
もっとも最近の Wi-Fi ルータの多くは高性能ですから、そこが気になる機会は少ないかもしれません。

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